隣人は高校教師
「…帰りませんから離してください。」
ゆっくり離れた手に顔の熱は引いてく。
「てゆうか、なんか俺に用だったの?」
「…また今度でいいです。
とにかく今は寝てください。」
う〜ん、と不満そうな声で答えた彼に無理矢理布団をかけた。
「あ、今リンゴ剥いて来るんで一緒に薬飲んでください。
どうせ飲んでないでしょう?」
彼が黙り込んだので、リビングに行ってポカリと一緒に持って来たリンゴを剥いた。
寝室に戻ると、綺麗な顔で目を瞑る彼がいる。
こんな顔してたらそりゃ女も寄ってくるよね。
しかし、こういう大事な時にいなきゃ意味ないと思うんだけどな。
ベッドに腰掛けて彼を見下ろすと、気づいたのか目を覚ました。
「薬飲んでください」
水と薬を手に持たせると、微妙に顔を歪ませた。
「薬嫌いなんだけど…」
「嫌いでも飲んでください。
治らないですよ。」
えぇー、と文句を言いながらも薬を飲んで苦々しい顔でリンゴを頬張る彼が可愛く見えた。