隣人は高校教師


この人も意外と桜見たりしてるんだ。
なんて少し見なおしたりした。

「こんなキレイな桜並木初めて見ました。
京都とかはこれよりももっと凄いんですかね?」

「あそこはさ、有名だし、皆知ってるじゃん?
でも、ここは知る人ぞ知る場所で、頑張って咲いてくれたって感じしない?」

その言葉に、初めて花を愛おしく感じた。

「…そうですね。」

私の返事に満足そうに笑うと、食いたい物とかある?と聞いて来た。

「や、ないです。」

ないと言ったのに、ちょっと待ってて!と1人にされた私は、適当に座って待っていた。
するとベタに頬に冷たい物が当たって驚いて振り返ると、いたずらっぽい顔で笑う彼がいた。

今日はなんだか、沢山笑ってるのを見るな…

「ジュース買ってきた。
ノドは渇いただろ?」

「あ、ありがとうございます。
お金……」

「いやいや、そんなのいらないし。」

自然なやりとりが大人を意識させる。

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