隣人は高校教師


「…会いたくないからですけど!」

ぶっきら棒に答えると、フハッと笑う声が聞こえた。

「だから、警戒し過ぎだってば。
俺舞ちゃんに挨拶してからじゃないと、仕事行く気になんないんだけど。」

知るか!

「どうでもいいです。」

「お願い。ちょっと顔見せてよ。」

急に優しい声でそんな事言うなんて、ズルい。

ガチャ…とゆっくりドアを開けると、隙間から見えてくる綺麗な顔。

「あ、開いた。
今日学校は?」

「昼からです。」

「いーね。
高校もそんな感じにすればいいのに。」

「先生早く出勤してください。」

「…舞ちゃんに先生って言われると、なんかいいね。」

「はい?
さようなら。」


素早く扉を閉めると、ひっでー!と笑う声と、行ってくるね。とコン、と扉を叩く音を残して行った。

< 41 / 86 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop