隣人は高校教師
「…会いたくないからですけど!」
ぶっきら棒に答えると、フハッと笑う声が聞こえた。
「だから、警戒し過ぎだってば。
俺舞ちゃんに挨拶してからじゃないと、仕事行く気になんないんだけど。」
知るか!
「どうでもいいです。」
「お願い。ちょっと顔見せてよ。」
急に優しい声でそんな事言うなんて、ズルい。
ガチャ…とゆっくりドアを開けると、隙間から見えてくる綺麗な顔。
「あ、開いた。
今日学校は?」
「昼からです。」
「いーね。
高校もそんな感じにすればいいのに。」
「先生早く出勤してください。」
「…舞ちゃんに先生って言われると、なんかいいね。」
「はい?
さようなら。」
素早く扉を閉めると、ひっでー!と笑う声と、行ってくるね。とコン、と扉を叩く音を残して行った。