隣人は高校教師


その声にゆっくりこちらを見た彼の顔は、あたしの人生で初めて胸がときめく程"イケメン"だった。

目にかかりそうなくらい長めの前髪と、何を考えてるか分からない様な目。
高くはないが、整った鼻筋と小さな顔は誰が見てもかっこいいと答えるだろう。

女癖悪いという噂に納得がいく。

「あ、初めまして、隣の近藤といいます。」

慌てて挨拶をすると、あぁ…とクルリと鍵を指で回しながら穏やかな表情で返事をした。

「初めましてですよね。
どこの高校行ってるんですか?」

は?高校?
というか、あたしの事高校生って決め付け?

「…どうして1番にそれを聞くんですか?」

チャリン、と回していた鍵をキャッチすると、嘘くさい笑顔で答えた。

「高校教師やってるから」

高校教師ぃー!??

上から下まで見たが、絶対教師に見えない。
こいつ、からかってるな。

あたしの中でこれは嘘だと信じ、スルーする事にした。

「あたし大学生です」

すると、あからさまに驚いた顔をすると、大学生か…と呟きながらあたしの方へ歩いて来た。

ちょっ来るな!寄るな!

後退りしながら逃げる体制を整えた。




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