隣人は高校教師


あたしが口を開く前に、唇を塞がれた。

久しぶりに感じるタバコの香りと体温に、抵抗するのを忘れていた。

「……やっぱり、無理だ。
他人になれない。
誰かに取られるなんて死にそう。
舞ちゃん…まだ信じられない?」

ぎゅっと抱きしめられ、涙が出る。


どれだけこうされたかったか。
どれだけ信じたかったか。

だけど、ずるいよ。
また言ってくれてない。

「………まだ信用出来ないよ。」

あたしがそう言った時、隣の自分の部屋へのノックが聞こえた。


「おーい!
舞ちゃん!車に忘れ物してたよ!」


!!

このまま彼の家から出たら、まずい。
どうしよう…と迷っていたら、彼が立ち上がって玄関まで歩き出した。





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