閉じこめられた空間で
その声に驚いた。
「あ・・・!」
私立如月男子高等学校の制服。
そう、彼は。
「湊・・・!」
毎日、行きかえりのバスが一緒だった湊だった。
「ど、どうしたの?」
「お前の両親が倒れたって・・・!」
彼は息がきれていた。
「それで養子に・・・!五藤園の養子になるとか!」
彼は私の肩をがっちりつかんだ。
「なんで言ってくれないんだよ!」
彼の目は涙が。
涙があふれそうだった。
彼だけには心を許していた。
苦手の対象じゃない。
いつだって私の味方でいてくれたから。
「ごめん。なにもかも急だったから。」
「はは・・・。だよな、ありえない。」
彼は真面目な目をしていた。
「お前騙されてる。」