Nine
「千夜ちゃん、今日はもう上がっていいよ」
午後8時前。奥から店長が顔を出して
業務終了を告げた。
「ほら、これ持ってきな」と、残ってしまったイチゴのショートケーキとクッキーが入った袋を渡される。
やったー!
今日は大好きなイチゴだっ!
私はいつもこれが楽しみで。
今日も下手くそな鼻唄を歌いながら
軽い足取りで家路につくのだった。
でもまさかこの後に
あんな事が起きるなんて、
夢にも思わなかったんだ。