七色キャンディ 【短編集】
○それは…




最近、俺の体がおかしい。
おかしい…というと少し語弊があるかもしれないが、今のこの状態を表現するのにピッタリな言葉がどうにもみつからない。
急に鼓動が早くなったり、顔が赤くなったり。
気付けば頭はアイツのことでいっぱいで、たまに目で追ってしまったりしている。
おかしい。
アイツとは幼なじみでもう十年以上一緒にいるのに。
こんな気持ちははじめてだった。



「…ねえ、きいてるの?ユウキ」
ぼーっとしているとアイツ……ミサキが俺の顔を覗き込んでくるものだから、ビックリして思わず立ち上がってしまった。
「そんなに驚かなくてもいいじゃん…なんか傷つくなあ」
そう言いながら、ふいっとミサキは拗ねたように顔を背けた。
「うるせー。悪かったな」
ただ声をかけられただけなのにドキドキと鼓動は早まり、じっとりと手が汗ばむ。
なんだこれ。
嬉しいような苦しいような、胸が苦しくなる。
こんな感情、俺は知らない。

「いいよ、謝んなくて。っていうかさっきも聞いたけどアタシの話聞いてた?」

そう言って俺に目線を合わせてくるミサキ、鼓動は一層早まる。
顔に熱が集まるのが、わかる。
何故か恥ずかしくてミサキと目を合わせられない。
なんだこれ。
本当にどうしちまったんだ俺。

 
< 1 / 4 >

この作品をシェア

pagetop