愛は満ちる月のように
廊下に立つ美月はあまりにも儚げだった。
昨日のように大人の女性として身なりを整え、凛とした強いまなざしで相手を見据える彼女も魅力的だが……。
今はルージュすら引いておらず、涙に潤んだ頼りなげな瞳でこちらを見ている。
素肌に張り付いたオフホワイトのニットワンピースは膝まで隠しているのに、たまらなく無防備だ。
それは七年前以上に、強烈な保護欲を掻き立て、悠の背中を押した。
『抱いたらまずいのか? 夫婦なんだろう?』
『いいじゃないか……いっそ奪ってみればいい』
那智の言葉が耳の横で繰り返し聞こえる。
衝動に突き動かされるようなセックスだけは二度としない。人生にあやまちは一度だけでいい。どうせ、人並みの感情は持たない自分だ。不幸にすることが決まっているなら、近づくのは愚の骨頂――。
心の中に渦巻く思いを振り切り、悠は美月を抱き寄せていた。
「ユウさん……あの」
言葉を奪うように口づける。
重ねた唇から美月の戸惑いが伝わり、悠が自分を抑えようとしたとき、彼女の手が悠の背中に回った。スーツ越しに感じるはずのない温度が全身に広がる。
そして、内ポケットに携帯電話の入った上着を廊下に脱ぎ捨て、美月を抱き上げ寝室に入った。
昨日のように大人の女性として身なりを整え、凛とした強いまなざしで相手を見据える彼女も魅力的だが……。
今はルージュすら引いておらず、涙に潤んだ頼りなげな瞳でこちらを見ている。
素肌に張り付いたオフホワイトのニットワンピースは膝まで隠しているのに、たまらなく無防備だ。
それは七年前以上に、強烈な保護欲を掻き立て、悠の背中を押した。
『抱いたらまずいのか? 夫婦なんだろう?』
『いいじゃないか……いっそ奪ってみればいい』
那智の言葉が耳の横で繰り返し聞こえる。
衝動に突き動かされるようなセックスだけは二度としない。人生にあやまちは一度だけでいい。どうせ、人並みの感情は持たない自分だ。不幸にすることが決まっているなら、近づくのは愚の骨頂――。
心の中に渦巻く思いを振り切り、悠は美月を抱き寄せていた。
「ユウさん……あの」
言葉を奪うように口づける。
重ねた唇から美月の戸惑いが伝わり、悠が自分を抑えようとしたとき、彼女の手が悠の背中に回った。スーツ越しに感じるはずのない温度が全身に広がる。
そして、内ポケットに携帯電話の入った上着を廊下に脱ぎ捨て、美月を抱き上げ寝室に入った。