愛は満ちる月のように
焦りとわずかな期待。下着姿の美月はじわじわと悠の官能に火を点ける。

どれほど深呼吸しても荒くなる息が整えられない。セックスはセックス。誰を抱いてもやることは同じだ。たとえそれが妻であったとしても……。そんな言葉を頭の中で繰り返すのだが、一向に逸る気持ちが収まらないのだ。

女性の裸を見るだけで反応する年齢はとうに卒業したというのに、美月を避けてきた長年の思いが、悠の中で猛り狂っていた。


「ユウさん……やめないで。お願い……これが、私の願いなの。だから……」

動きを止めた悠が引き下がることを恐れたのだろう。

美月は懇願するようなまなざしで彼を見つめ、次に自分からキスしてきた。彼女はそのまま悠の下着まで脱がそうと手を伸ばす。

ブラジャーの肩紐がしどけなく腕に落ち、たわんだカップから桜色の先端がこぼれ落ちそうになる。

悠は自分の下着に触れた彼女の手を掴んだ。


「わかったから、そんなに急かすもんじゃない。まだ日も沈んでないんだ。夜はこれからだ」


一旦ベッドから下りて悠はすべてを脱ぎ捨てる。

そして美月を抱き締め、ふたりはベッドカバーの下に潜り込んだ。


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