愛は満ちる月のように
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「沙紀は何度か父に会いに来たらしい。そのたびに説明しても受け入れようとしなかった、と。なんでも、一条の祖母が生前、彼女に金を渡していたみたいなんだ。そのことを曲解して、一条の金の力で事実を捻じ曲げられた。不幸はすべて父のせいだ、と思い込んでて……」
沙紀は悠を嵌めるため、友人に取り入り利用した。
だが、小岩も決して被害者ではない。沙紀の執着に嫌なものを感じながら、悠を嵌めることに加担した。女性関係に潔癖な悠を誘うため、恋人を紹介し、さらには経験を積むよう説得したのだ。
『成績がよくて大人びた一条の慌てるところが見たい』
小岩にすればその程度の遊び半分だった。
それにまんまと乗せられた悠も悠だが、落とし穴は用意周到に掘られており、落ちるべくして落ちたというべきだろう。
「でも、お父様は脅迫に屈しなかったのね」
「……どうしてわかる?」
思いのほか冷静な美月の返事に悠は問い返した。
「決まってるわ。あなたのお父様ですもの」
「沙紀は何度か父に会いに来たらしい。そのたびに説明しても受け入れようとしなかった、と。なんでも、一条の祖母が生前、彼女に金を渡していたみたいなんだ。そのことを曲解して、一条の金の力で事実を捻じ曲げられた。不幸はすべて父のせいだ、と思い込んでて……」
沙紀は悠を嵌めるため、友人に取り入り利用した。
だが、小岩も決して被害者ではない。沙紀の執着に嫌なものを感じながら、悠を嵌めることに加担した。女性関係に潔癖な悠を誘うため、恋人を紹介し、さらには経験を積むよう説得したのだ。
『成績がよくて大人びた一条の慌てるところが見たい』
小岩にすればその程度の遊び半分だった。
それにまんまと乗せられた悠も悠だが、落とし穴は用意周到に掘られており、落ちるべくして落ちたというべきだろう。
「でも、お父様は脅迫に屈しなかったのね」
「……どうしてわかる?」
思いのほか冷静な美月の返事に悠は問い返した。
「決まってるわ。あなたのお父様ですもの」