愛は満ちる月のように
悠には美月の言葉の意味がわからない。彼は沙紀に金を払い、すべてをなかったことにしようとしたのだ。
「それは……嫌味なのか?」
「違うけど、まあいいわ。でも、本当にあなたの子供だったの? DNA鑑定はした? 四十年前はともかく十一年前なら可能なはずよ」
「……いや……。生まれてからなら鑑定を受けると言われたが……」
父に呼び出された日、本当の姉弟でないなら堕胎には同意したくない、と口にしたが……。父からもう手遅れだと言われた。
それを美月に話すと、彼女は呆れたように首を振った。
「妊娠を盾にする女の決まり文句ね。堕胎は事実かもしれないけど、あなたの子供かどうかは……。避妊は?」
「それは……本当に聞きたいのか?」
「重要なことよ」
あっさり返されては、妙にあたふたしている自分がさらに情けなく思える。
「使った、と思う。彼女が用意して……付けてくれた。終わって外してくれたのも向こうだよ。これで満足?」
「……至れり尽くせりね。でも、ティーンエイジャーならそんなものかしら」
「それは……嫌味なのか?」
「違うけど、まあいいわ。でも、本当にあなたの子供だったの? DNA鑑定はした? 四十年前はともかく十一年前なら可能なはずよ」
「……いや……。生まれてからなら鑑定を受けると言われたが……」
父に呼び出された日、本当の姉弟でないなら堕胎には同意したくない、と口にしたが……。父からもう手遅れだと言われた。
それを美月に話すと、彼女は呆れたように首を振った。
「妊娠を盾にする女の決まり文句ね。堕胎は事実かもしれないけど、あなたの子供かどうかは……。避妊は?」
「それは……本当に聞きたいのか?」
「重要なことよ」
あっさり返されては、妙にあたふたしている自分がさらに情けなく思える。
「使った、と思う。彼女が用意して……付けてくれた。終わって外してくれたのも向こうだよ。これで満足?」
「……至れり尽くせりね。でも、ティーンエイジャーならそんなものかしら」