愛は満ちる月のように
美月は悠の身体に触れながら、
「本当はね、怖かったの。もちろん、最初は桐生の件があって連絡を取らないように言われていたんだけど……。ユウさんと結婚したあとは、連絡ぐらい取っても平気だった。でも、あんな大変な思いをさせた私のこと、許してもらえないんじゃないかと思って」
すると、悠は向きになって反論した。
「そんなはずがないだろう? 何度も言うが、桐生の件は君のせいじゃない。許すも何も……初めから誰も怒ってないよ」
「だったら……ユウさんも同じよ」
「いや、僕は」
「同じだわ。あなたが彼女を抱いたのは事実だとしても、彼女の行いまで責任に感じる必要はないでしょう? それはあなたのせいじゃないわ」
仮に、悠の父が彼の言うとおりの男性だったとしても……。
女性がたったひとりで子供を生んで育てるなんて、並大抵のことではない。それも今から三十年も前のこと。日本というお国柄を考えたら、未婚の母には厳しかったはずだ。
今ではだいぶ風潮が変わってきたが、社会福祉という点から考えれば昔と大差ない。
悠の母が夫を愛しているのは事実だろう。
だが、それ以上に悠のことを愛したはずだ。
美月は子供を生んだことはないが……。可愛い息子がいつのまにか大人になり、女性とセックスして妊娠させた、と聞けば大抵の母親は慌てるのではないだろうか?
しかも夫の隠し子という疑惑とともに聞かされたら、どれだけ聡明な女性でも冷静ではいられない。
「本当はね、怖かったの。もちろん、最初は桐生の件があって連絡を取らないように言われていたんだけど……。ユウさんと結婚したあとは、連絡ぐらい取っても平気だった。でも、あんな大変な思いをさせた私のこと、許してもらえないんじゃないかと思って」
すると、悠は向きになって反論した。
「そんなはずがないだろう? 何度も言うが、桐生の件は君のせいじゃない。許すも何も……初めから誰も怒ってないよ」
「だったら……ユウさんも同じよ」
「いや、僕は」
「同じだわ。あなたが彼女を抱いたのは事実だとしても、彼女の行いまで責任に感じる必要はないでしょう? それはあなたのせいじゃないわ」
仮に、悠の父が彼の言うとおりの男性だったとしても……。
女性がたったひとりで子供を生んで育てるなんて、並大抵のことではない。それも今から三十年も前のこと。日本というお国柄を考えたら、未婚の母には厳しかったはずだ。
今ではだいぶ風潮が変わってきたが、社会福祉という点から考えれば昔と大差ない。
悠の母が夫を愛しているのは事実だろう。
だが、それ以上に悠のことを愛したはずだ。
美月は子供を生んだことはないが……。可愛い息子がいつのまにか大人になり、女性とセックスして妊娠させた、と聞けば大抵の母親は慌てるのではないだろうか?
しかも夫の隠し子という疑惑とともに聞かされたら、どれだけ聡明な女性でも冷静ではいられない。