愛は満ちる月のように
どうして美月の後ろに悠がいるのだろう?
不思議に思ったが、今、美月がその場所にいられるのは、悠が彼女を抱きかかえるように支えているからだ、と気づく。
「ゆ……さ、ん」
「説明はあとにしよう。とりあえず、僕の首に抱きついてくれ。さすがに片手だから、そう長くは持たないんだ」
悠の片手は美月の腰に巻きついていた。
もう片方の手が柵のポールを掴み、それでふたり分の体重を支えているらしい。
美月はゆっくりと手を伸ばし、言われるとおり彼に抱きつく。
すると悠は、空いた手で美月の膝下をすくうように抱き上げ、そのまま反動をつけて柵を飛び越えた。
「しかし……驚いたな」
那智がホッと息を吐きながら言う。
それに重ねるように、
「ああ、驚いたよ。どういうことなんだ? どうして君が美月と会ってる? まさか……突き落とそうとしたのか!?」
悠の言葉は美月ではなく、千絵に向けたものだった。
不思議に思ったが、今、美月がその場所にいられるのは、悠が彼女を抱きかかえるように支えているからだ、と気づく。
「ゆ……さ、ん」
「説明はあとにしよう。とりあえず、僕の首に抱きついてくれ。さすがに片手だから、そう長くは持たないんだ」
悠の片手は美月の腰に巻きついていた。
もう片方の手が柵のポールを掴み、それでふたり分の体重を支えているらしい。
美月はゆっくりと手を伸ばし、言われるとおり彼に抱きつく。
すると悠は、空いた手で美月の膝下をすくうように抱き上げ、そのまま反動をつけて柵を飛び越えた。
「しかし……驚いたな」
那智がホッと息を吐きながら言う。
それに重ねるように、
「ああ、驚いたよ。どういうことなんだ? どうして君が美月と会ってる? まさか……突き落とそうとしたのか!?」
悠の言葉は美月ではなく、千絵に向けたものだった。