愛は満ちる月のように
(結局、これが女の本性だ。――反吐が出る)
厚化粧で塗り固め、醜く歪んだ千絵の顔を見ながらため息を吐く。
ただ、こういう女だとわかっていても、セックスのためなら妥協できる男の下半身にも些か情けないものを感じる。自嘲気味に考えつつ首を振った。
「それで?」
「そ、それでって……だから、ハッキリさせてちょうだいって言ってるのよ。結婚が嘘かどうか……」
「それと君と、いったいなんの関係があるというんだ?」
まるで怖気づいた様子のない悠に、千絵はこれ以上どう言えばいいのかわからないようだ。
「仮に結婚が嘘でも、それが詐欺にあたるとでも? 私は君に対して一円の金もせびったつもりはないが。“結婚はしない”と言って始めた関係だ。そのことに嘘はついてない」
本気で言い返し始めた悠に千絵は言葉もなかった。
「じゃあ、言いふらしてやるわ! 結婚してようがしてまいが、あなたは最低の男だって!」
「やめたほうがいい。私が独身ならいいが、そうでなかった場合、妻から訴えられるのは君のほうだ。お父上にも恥を掻かすことになる」
厚化粧で塗り固め、醜く歪んだ千絵の顔を見ながらため息を吐く。
ただ、こういう女だとわかっていても、セックスのためなら妥協できる男の下半身にも些か情けないものを感じる。自嘲気味に考えつつ首を振った。
「それで?」
「そ、それでって……だから、ハッキリさせてちょうだいって言ってるのよ。結婚が嘘かどうか……」
「それと君と、いったいなんの関係があるというんだ?」
まるで怖気づいた様子のない悠に、千絵はこれ以上どう言えばいいのかわからないようだ。
「仮に結婚が嘘でも、それが詐欺にあたるとでも? 私は君に対して一円の金もせびったつもりはないが。“結婚はしない”と言って始めた関係だ。そのことに嘘はついてない」
本気で言い返し始めた悠に千絵は言葉もなかった。
「じゃあ、言いふらしてやるわ! 結婚してようがしてまいが、あなたは最低の男だって!」
「やめたほうがいい。私が独身ならいいが、そうでなかった場合、妻から訴えられるのは君のほうだ。お父上にも恥を掻かすことになる」