愛は満ちる月のように
第2章 初恋
(1)恋のはじまり
大きな鏡の中からひとりの女性がこちらを見ていた。そこに映っているのは、彼女自身が知らなかった彼女の顔。
それは恋を知った女の顔だった。
美月は今、悠のマンションにいた。それもシャワーを浴び、洗面台の前に立って濡れた髪を拭いている最中だ。
あのあと、悠は問答無用で彼女を自分のマンションに連れ帰った。
美月自身、あの部屋にひとりでいることが恐ろしく、ついつい、悠の言いなりになってしまい……。
――わかった。君の願いを叶えてやる。
美月の中でその言葉がずっとリフレインしている。
悠は彼女の話を聞いてくれる気になっただけだ。まだ、イエスと言われた訳ではない。だが悠なら、美月が望めば、きっと叶えてくれるはず。
ひとつだけ問題があるとすれば……。
もし悠が人工授精ではなく、別の形で美月の妊娠を望んだら? ということ。
(さっきのキスを考えたら……ありえないことではないわ)
ただ唇を重ねただけのキスなら美月も知っている。でもあのキスは全く違った。悠は美月をひとりの女性として扱い、抱きしめてくれた。
それは恋を知った女の顔だった。
美月は今、悠のマンションにいた。それもシャワーを浴び、洗面台の前に立って濡れた髪を拭いている最中だ。
あのあと、悠は問答無用で彼女を自分のマンションに連れ帰った。
美月自身、あの部屋にひとりでいることが恐ろしく、ついつい、悠の言いなりになってしまい……。
――わかった。君の願いを叶えてやる。
美月の中でその言葉がずっとリフレインしている。
悠は彼女の話を聞いてくれる気になっただけだ。まだ、イエスと言われた訳ではない。だが悠なら、美月が望めば、きっと叶えてくれるはず。
ひとつだけ問題があるとすれば……。
もし悠が人工授精ではなく、別の形で美月の妊娠を望んだら? ということ。
(さっきのキスを考えたら……ありえないことではないわ)
ただ唇を重ねただけのキスなら美月も知っている。でもあのキスは全く違った。悠は美月をひとりの女性として扱い、抱きしめてくれた。