ヲタク彼女
 只今の時間、10時。そして、約束の時間……10時。
 俺は今、全力疾走している。
「やっべ!寝坊した!」
 という事なのだ。
 10時1分、2分。だんだんと目の前に学校が見えてきた。そして3分。
「ごめん!遅くなって」
「いいよ。それに遅くなってって、たった3分だし」
 彼女は笑顔で言ってくれた。
 なんていい子なんだ。いや、これが普通なのかもしれないが、前に付き合っていた彼女は、1分遅刻しただけでぶっ飛ばされた。
「じゃ、行こっか」
 彼女が自然に俺の手を握った。
 俺は一人、付き合ってる感に浸っていた。
 ふと、彼女の服装を見た。普通だというより、普通以上に可愛かった。まして、ヲタクっぽいところなど、どこにもない。
「……よしっ」
「何?」
「何でもない」
 一安心だ。
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