ヲタク彼女
 「朱音ちゃんってアニメ好きなの?」
 俺は何も気にしていない風を装って聞いた。
「……。何で?」
 何だ、今の間は。
「いや、別に意味はないんだけどさ。たださっきポスター見てたから、もしかしたらなぁって」
 内心ドキドキだ。
「アニメはあんまり。少女マンガとかはよく読むよ」
「そっか」
 それからは普通にごはんを食べて、プリクラを撮って、少し遊んでわかれた。
 ただ一つ、普通じゃないとしたら、彼女が携帯を開く時、必ず俺を見ることだった。携帯を取り出して、俺が後ろにいるとわかると、携帯を開かずにしまった。それだけが変だった。
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