ヲタク彼女
 俺達がケンカしたことが、あんなに早くほぼ全校に伝わったくらいだ。俺達が元に戻ったということも次の日には伝わっていた。
「よかったな」
 満面の笑みと思われる顔でみんなに言われたが、俺から見たその顔は目が笑っていなかった。
「ありがとう」
 だから俺も満面の笑みでみんなに返してやった。その度に舌打ちが聞こえた。
「にしても、お前があんな事言うなんて思わなかった」
「ああ。いっつも穏やかっていうかなんて言うかさ」
「俺だってビックリだよ」
 本当に自分でもびっくりだ。大勢人がいる前であんな大声出して怒鳴るなんて。
「まあ、そのおかげで仲直り出来たんだからな」
 結果良ければ全てよしってとこか。
 しかし、一番驚いたのは、その後の彼女の告白だ。
「おはよう」
 その彼女が来た。みんなが俺を見た。彼女も僕を見た。
「……ハハ」
 俺は笑うしか出来なかった。
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