ヲタク彼女
 「本当にごめんね!」
「いいよ。それ取れたし」
「本当にありがとう。お昼はあたしが奢るね」
 彼女に奢られちゃ、彼氏としての面目が丸つぶれだ。
「大丈夫だよ。なんとかなるよ」
「でも……そうだ!」
 今さっきまで申し訳なさそうにしていた彼女が、何か思いついたのか、顔がパァッと明るくなった。
「あたしんち来ない?」
「えっ!?」
「材料なら沢山あるからお金かからないし。どうかな?」
 彼女のいきなりの申し出に、どう答えたらよいのか戸惑ってしまった。
「どうって、そっちの家族に迷惑だよ」
「大丈夫。お母さんは夜まで出かけてるし、弟は今日友達の家にお泊まりだから」
 なんだかノーと言えない雰囲気になってしまった……。
「じゃあ……」
「決まりだね。じゃあ、家行こっか」
 彼女がルンルンで歩き出した。
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