ヲタク彼女
 「今日あたし部活ないから一緒に帰ろう」
「いいよ」
 以前は朱音ちゃんに声をかけられるだけでドキドキだったが、最近ではこのやりとりにも慣れてきた。みんなも諦めたらしく、ヤジやら何やらもなくなった。
「なんだかんだいって、上手くいってんじゃん」
「まあね」
「何だ!その自慢気な顔は!」
「俺たちの中で彼女がいるのはお前だけなんだぞ!」
 諦めたとはいえ、相変わらずこいつらのひがみは続いている。
「この、裏切り者!」
 俺はこの一言に反応してしまった。
「悪いけど、俺もいるよ」
 そう言ったのは牧だった。そして、牧が俺に目配せをした。
 ――そういうことか
 牧は本当に気がきくというか、俺をわかってくれている。
「何!?牧!俺はきいてないぞ」
「だって言ってないもん」
 牧はサラッと言った。
 でも牧、幼なじみも知らないぞ。
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