ヲタク彼女
 俺は牧の彼女の話がどうしても気になって、結局彼女と牧と3人で帰ることにした。
「牧、俺も知らなかったぞ」
「ちゃんと聖二には言おうと思ったよ。でもちょーっと忘れちゃって」
「幼なじみへの報告を忘れるのか!」
「だから、ちょっとって言ってんじゃん!それに、朱音ちゃんの前でそんな事ばっかり言ってると小さい男だと思われるよ。ねっ、朱音ちゃん」
「うっ!」
 それは困る。
「聖二も知ってる子だよ。中3からだから」
「……それなら、もっと早くに言え!」
「すごいね」
 俺が怒っている横で、彼女が目をキラキラ輝かせていた。
「だって、4年目ってことでしょ?本当に好きなんだね」
 彼女がそう言ったのを聞いて、あんな事で腹を立てた自分が情けなく感じた。
「好きなんだね」
「うるさいよ、聖二」
「……はい」
 そう言いながらも、牧の顔が少しか幸せそうに見えた。
「聖二」
 そう呼ばれて、声のする方を見ると祐二がいた。
「……祐二」
「ちょっと聖二借りる」
 祐二が有無を言わさない雰囲気で俺の腕を引っ張って、どこかへ歩き出した。
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