ヲタク彼女
 「朱音ちゃん、優しすぎ」
 へ?と彼女は間の抜けた返事だ。
「別に全部朱音ちゃんが教えなくたっていいじゃん」
 本当に心が狭いと思うが仕方ない。嫌なものは嫌なんだ。
「ああ。でも友達だから、そっぽ向いたら可哀想でしょ?」
 友達ね。
 そうじゃない奴もいる、なんてことを言ったら泣くか怒るか―いや、きっと怒るな―しそうだから言わないでおこう。
「聖二にも今度ちゃんと教えるから」
「……そういうことじゃないんだけど」
「何?」
「何でもない」
 どうしたら天然というのは直るのだろうと本気で考えてしまった。
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