もっと…
“数学準備室"と書かれた部屋の前に立ち止まり、深呼吸をする。



“よしっ!”



気持ちを切り替え、ドアに手を掛ける。






「失礼します…」



そっとドアを開けると…



「キャ…ッ」




誰かに力強く腕を引っ張られ、温かな胸に抱かれた。


数学準備室に居る人物はただ独り……。




「に…新妻先…生っ」




あまりに突然の事で、上手く思考が回らない。


新妻先生が…私を抱き締めてる……っ///



たったそれだけで、紅く染まる頬。


心臓が大きく脈を打つ。



抱き締めたまま、何もしてこない新妻先生。


部屋に沈黙の渦が広がる。




でも、何だか心地良かった。




会話が無くても




何もしなくても………






こうして、抱き締めてくれているだけで…






安心した。
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