もっと…

偽りの気持ちは相手に失礼

誰も居ない廊下で呼吸を整えていると、コツコツと誰かの足音が聞こえてきた。



誰……?




目の悪い梓はこちらに近付いてくる人物が誰なのか分からなかった。



ソイツは誰かを探しているみたいだ。



梓は曲がり角の所でしゃがみ込んでいるので、

ソイツには気付いていないらしい。






梓は立ち上がり、近付いてみる。





「おっ、梓じゃねぇか!!」



「あ、伊東……」




今日、彼氏に昇格してしまった伊東春樹だった。




「何でアンタが…。もう下校時間はとっくに過ぎてるのに…」



伊東は部活に入ってない。


帰宅部は4:30までに帰らなければいけない。



今の時刻、5:00。



最近寒くなってきたせいか、空は暗くなっていた。


早く帰らないと……。
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