もっと…

第一印象が大事といっても限度がある

次の日・2時間目―――
はぁ…。なんだか今日の数学はいつにも増してやる気ない。


だって……



「この問題分かる人」


「「はぁーーい」」


クラスの女子が一斉に手を挙げる。よく見ると、梓以外の女子皆新妻先生にメロメロだ。



朱里まで……。


梓は頬杖をつき、つまんなそうに窓の外を眺めていると…



「川瀬梓」


「…は、はい」



何で私指名するかなぁ…。全然解んないんですけど。



「解りません…」



梓はそう言い、椅子に座った。

解りませんと言った時、新妻先生の黒ぶち眼鏡が光った事も知らず……。






放課後―――
「梓~!新妻先生が数学準備室に来てだって!!」



「はぁ?何で…」



「知らないわよ♪ほら、早く行ってきたら?」


何で朱里はそんなにテンション高いの?

だって変じゃない…。違うクラスの子をわざわざ呼び出すなんて…。私何かしでかした?




疑問を持ちながらも、数学準備室に行った。




コンコン…



「失礼します…新妻先生?川瀬です」


狭い準備室を見渡すが、暗くて何も見えない。つーか、居ない…。


人を呼び出しといて居ないってどういう事!?


ま、いいや。とりあえずソファに座って待ってよ…。



梓が準備室に足を踏み入れると……



「…ッ!?」



誰かに首……ッ。


な、舐められたぁ…っ。


「遅かったね?川瀬さん…」



「に、新妻先…生?」



後ろを振り向くと、妖艶な笑顔を浮かべた新妻先生が立っていた。



「さ、さっき…く、首に…っ」


「フッ…。あれくらいで取り乱すなんて、君もまだまだだね?」



イラッ…

何かムカつく…っ。



「あの、私は何故呼ばれたんですか?」


イライラをなるべく抑え、聞いてみた。

「川瀬さん…数学苦手でしょ」


コクりと頷く。本当だもん。


「だよね~。あんな簡単な問題解けなかったもんね?」


流石に…


「新妻先生っ!!何なんですか!?あんたは何が…」


「怒らない怒らない♪」


新妻先生に口を押さえられ、何も言えない…っ。



梓が抵抗をやめると、ようやく手を放してくれた。


ハァ…ハァ…ッ。苦しかった。


梓が息をきらしているのを見て、新妻先生はニヤッと笑った。


「川瀬さん」



「はい…?」



「俺が数学…手取り足取り教えてやる」



……っ!!それ、昨日の学年集会で言ってた…



「あ、あの…手取り足取りって、何ですか?」


おそるおそる聞いてみると、新妻先生はまたニヤッと怪しく笑い、梓を…ギュッと抱き締めた。



「体で教えてやる…って事だ」


そう言って、新妻先生は梓の制服のリボンを外した。
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