冷姫Ⅰ
それが勇気だった。
その時はまだ勇気が百季の総長だった時代で、よく倉庫に出入りしてはみんなと組み手をやらせてもらった。
勇気がいないときはチームのみんなで眞田組の稽古場にいって稽古をつけてもらった。
私は筋がいいらしく、すぐに上達して勇気以外よりは強くなっていった。
だけど私にもちゃんと家族がいて毎日家には帰っていた。
「ただいま~」
「おかえりっ!って・・・またそんな汚してきて!洗うのは私なんだからね!」
共働きで忙しい両親に代わって、私の双子の妹『陽』は進んで家事をしていた。
「ごめんごめん。今日の夜ご飯は?」
「雪はいっつも食い気なんだから!そんな雪ちゃんの大好物・・・シチューでーす!」
「やった!さすが陽!大好き!」
「調子いいんだから」