隣に魔王さん。
■Ⅷ.本を読みましょう。
お昼寝のあと、静かな場所で椅子に座って数時間。
わたくし、そろそろ限界ですっ!!
発狂しそうになるのをこらえて目の前の本を睨む。
頭の回転は早いのですがこんな風に頭を使うのはいやなのですっ!
隊長!お助けあれっ!!
何でこんな事になったのかというと、それはお昼寝の目覚めの時まで遡る。
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「んにゃ………お腹いっぱい………」
ええ、あのとき私はたくさんのお菓子を食べている夢をそれはもう、幸福を噛み締めながら見ていたのに。
幸せの中、覚醒する意識が捉えたのはニヤニヤ顔の魔王さんでした。
おじさんめ!!
「ほら、起きろ。」
クスクス笑う魔王さんはだいぶ前に起きてたらしくてさっきよりもラフな服をきっちりと着ている。
眠気も覚めたらしくてよかったですよ!
拗ねる私の頭を撫でる。
むぅ、ずるいですよ。
―――私があらがえないのを知ってやるなんて、
「まだ、眠いんですけど。」
せめてもの最後の反抗。
癪だもん、すんなりはいきたくないのですよ。
「充分寝ただろう?ほら、いい場所に連れてってやるから」
差し出された手を焦らしてから重ねる。
魔王さんは優しい瞳で私を見てから微笑む。
甘い、と感じるようになった魔王さんの言動。
それは、私の気持ちの変化なのかはたまた魔王さんが変わったのかわからないけど。
ただ、コレだけは。この芽生えた想いは言えない。
―――隣にいて。