隣に魔王さん。
ふと、ページを捲る手が止まる。
もしかして、コレは。
―――実際に起こったことではないのか、
現実味のあるお話。
少女の話し方や仕草、文化に対する考え方は日本のそのものと似ている。
同じ、とはいえないけれど似ているの。
―――「”悲しみは、空から降る。”」
雨の中、雨宿りをしていた少女とその仲間のひとり。
少女と最も近しい存在だろう。
ぽつりと呟いた言葉に彼は怪訝な顔を見せた。
「何でだよ。」
少女は哀しげに笑ってただ、雨をみていた。
暫くして、少女はこう、言ったのだ。
「”泣いてても、気づかないでしょ?”」
彼ははっとして少女をみた。
「……じゃあ、俺が気づいてやる。」
「え?」
「お前が泣いてたら、俺が気づいてやる。」
ゆっくりと少女を抱きしめる。
その、温かな温もりに少女は静かに涙を流した。
「空、か…」
ぽつりと呟いた言葉に深い意味はない。
ただ、少女の言った意味に少しだけ共感を覚える。