隣に魔王さん。
――――
ポタリ、と涙が落ちた。
喉がひりひりして鼻がツンとなる。
全てに共感するわけではないけど、彼女の声がひしひしと伝わってくる。
私は命を棄てようとしたことはないけれど、絶望の淵にたったことはある。
あの時はくるしくて、つらくて
「………ふぇっ、………」
嗚咽を小さく漏らしたとき、扉が開いて黒い髪が見えた。
そして私を見て怪訝な顔をする。
「なつか………?」
名を呼ばれてたまらず魔王さんに駆け寄る。
そして――――
自ら腕を伸ばして魔王さんに抱きつく。
時折、小さく嗚咽を漏らしながら泣いている私に魔王さんは頭を優しく、優しく、撫でる。
それが余計に辛くて、嬉しくて、
“彼女”と同じだ――――
自分と同じ出で立ちの少女を思い浮かべ溢れる涙を拭いもせずにただただ、すがりついた。