隣に魔王さん。
ーーー帰り道、たくさん話をした。
コウくんは、緊張気味に私を見つめて。
「すきだよ、」
って、言って私は笑って抱きついた。
ふたり、手をつないで。
ゆっくり、お互いのぬくもりを感じて。
たくさん、笑って。
開いた、開けてしまった距離を少しずつ埋めるようにたくさん、たくさん、話をした。
そして、家の前までついたとき
「ねぇなつか。明日、見せたいものがあるんだ。」
悪戯に笑ったコウくんに首を傾げながらも頷く私を優しく、でも乱暴に頭を撫でた。
「明日、10時に公園の前にいて」
「う、ん。10時ねっ」
悪戯に笑いつつも、時々優しく微笑うから嬉しくなって私も笑うの。
最後にぎゅって、願いも込めてコウくんの手を握った。コウくんは何してるのさ?と優しく問うけど教えてあげない。
ーーーどうか、どうか、
ーーー好きだと、言うから
ーーー笑って、抱きしめて。
私はそっとコウくんの手を離してバイバイと手を振った。
コウくんも笑って手を振って私が家の中に入るのを見てから歩き出した。
明日、コウくんはどんな顔で私を見てくれるのだろうか。
嬉しさがこみ上げて自然と頬がゆるんだ。
幸せいっぱいで浮かれていた私は明日が、コウくんと会える最後の日になるなんて思いもしなかったのーーー