隣に魔王さん。
■Ⅰ. 落ちていった先には。
夏風が吹き抜ける炎天下の下で空を見上げて目を細める。
「………あつ、」
真っ白な肌を晒して半袖に短パンというスタイルでおつかい、もといパシりをしている私。
焼いてくれ。と言っているようなものだ。と自分で思うけど暑い日に長袖なんてきたくない。という訳のわからない信念の持ち主であります。
頼まれた“おつかい”の袋を両手にぶら下げて家路をゆっくり歩く。ジリジリと肌を焼き付ける紫外線を怨めしく思いながらただ歩く。歩くしかないのだ。ここでタクシーを使えばお金はもちろん無断になるし、何よりあのオニのようなお母様がお怒りになり一本角が増えるかもしれない。
あぁ、恐ろしい。
ブルッと体を震えさして目の前にはいないはずの母を思い浮かべる。…………はやく帰ろう。亀みたいに歩いている暇なんて家の中でまだ稼ぐことのできない私はパシりなのだから、
良い子のみんなはお母様の言い付けを守ろう、出なければ………。自らの身をおかずにして差し出さなければいけないよ。ってゆーのは冗談だけど。
ようやく、家についたと思い荷物を置き母を呼ぶ。
「あら、お帰りなさい。」
労りの言葉もなくさっさと荷物だけ持っていくぴ――――歳。
ただいま、不適切な表現が入りましたのでぴ――――を入れさせていただきました。主に母樣にとって。