隣に魔王さん。
目を、閉じて。
石が脈打つ鼓動に耳を澄ませる。
小さく、ゆっくりとしたリズムで波打つ鼓動。
それに懐かしさを感じて、安堵を覚える。
微かに香ってくる、温かな甘い匂いに安らぎを感じて、意識は暗闇へ落ち行く。
――――――
―――
「―――……かさま、なつかさま。」
ユラユラ、肩を掴まれて小さく揺らされる。起きるよ、わかった、起きるから………。
一瞬、眩しさに目が眩んで。
また目を閉じかけてしまう。
「なつか。」
あぁ、なんで。
貴方の声を聞くだけで哀しくなる。
ゆっくりと目を開けて目に入った。かお、が誰かのかおと重なって。不意に手を伸ばす。
するり、と頬に触れて真っ黒な髪があのひと、と同じで――。
夢かと思い、頬をつまんだ。
「………っ、おい。」
がしり、と頭を捕まれる。
「!!いたっ!!いたい、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!」
まだ、覚醒仕切ってなかった頭を痛いほど掴まれてジタバタ暴れる。
「……起きたか。」
「おきましたよぅー。」
むぅ、と唇を尖らせて不満を露にする。
暴力魔王さんはそんなことも意に介せず向かいのひとり掛けのソファに座った。
「なんでしょーか、」