隣に魔王さん。
■Ⅲ.夜にご挨拶です。
動くとふんわり、と広がる絹素材のスカート、何重にも重ねられリボンを結ばれて。
肩を少しだし、でも下品にはならない感じのベビーブルーのドレスを身につけ、私は椅子に座っていた。
んで、目の前には白と赤を貴重にした軍服、を着た魔王さんも座っておられて。
不機嫌なのかわからないくらい無表情で
私を凝視していましたとさ。
そして、魔王さんは動いた――。
手を差し出し、微笑む。
………なんか怖いんですけど。
「ほら、行くぞ。」
「どこに、ですか。」
魔王さんは私の頭をポンポンと撫でていつになく優しい笑みで私を見た。
「ほら、手を出せ。」
おずおず、と出された私の手をとり歩き出す。
ゆっくりと私にあわせた歩調で、時たま、此方を伺いながら。
ふ、不機嫌じゃなかったのーーー!?
心の中で叫びつつ私は魔王さんの隣を歩いていった。
そして、荘厳な扉の前で止まる。もしかして…………。
いやーな予感がするのですが、魔王さん?
「なつか、返り討ちにしても良いが、笑っておけ。」
「………は、」
「笑っておけ。そうすれば、奴等は黙る。が、馬鹿どもは黙らん、だからそれは許す。ただ、俺の隣で笑っていろ。」