隣に魔王さん。
***
まだ気温が上がりきらない朝、通学路を歩く。
けれど、あつい。
「あつ………」
風がスカートを揺らした。
と思ったら突風が吹いた、
「きゃ………」
なんとまぁ、可愛らしい声をあげてしまい、ちょっと恥ずかしくなる。
「はず………」
そう、独り言を呟いたのに…
「そうか、可愛いと思うが?」
「いやいや、そんな可愛いものじゃ………って、へ?」
いつもの通学路、途中までは誰にも会わないしここは田舎と都会の間で、滅多に人は通らない道なのに………。
背後からはっきり聞こえた声にドキリとする。
「へ?」
「そんなトコも可愛いな。」
ゾワリ、鳥肌が………。
キモい、キモい、キモい、キモい、
そんなコトしか浮かばない。
だから、背後のヤツに一発お見舞い申し上げようと、構えた瞬間…
「顔もけっこう可愛いじゃないか」
「……ひっ!!」
なぜか瞬きした瞬間に目の前にいて、私の顔を覗き込んでいる。
「い………」
「い?」
「いやぁあああ!」
グッと拳を突き上げ、相手…変態おやじの顎にクリーンヒッツ!!っしゃあ!
………じゃなくて!
「きゃーーーー!ごめんなさいっ!!ごめんなさい、大丈夫ですか!?」
ぶっ飛んだ男の人に駆け寄って安否を確認する。