隣に魔王さん。


***


まだ気温が上がりきらない朝、通学路を歩く。
けれど、あつい。


「あつ………」


風がスカートを揺らした。
と思ったら突風が吹いた、


「きゃ………」


なんとまぁ、可愛らしい声をあげてしまい、ちょっと恥ずかしくなる。


「はず………」


そう、独り言を呟いたのに…


「そうか、可愛いと思うが?」

「いやいや、そんな可愛いものじゃ………って、へ?」


いつもの通学路、途中までは誰にも会わないしここは田舎と都会の間で、滅多に人は通らない道なのに………。


背後からはっきり聞こえた声にドキリとする。


「へ?」

「そんなトコも可愛いな。」


ゾワリ、鳥肌が………。
キモい、キモい、キモい、キモい、
そんなコトしか浮かばない。
だから、背後のヤツに一発お見舞い申し上げようと、構えた瞬間…

「顔もけっこう可愛いじゃないか」

「……ひっ!!」


なぜか瞬きした瞬間に目の前にいて、私の顔を覗き込んでいる。


「い………」

「い?」

「いやぁあああ!」


グッと拳を突き上げ、相手…変態おやじの顎にクリーンヒッツ!!っしゃあ!






………じゃなくて!


「きゃーーーー!ごめんなさいっ!!ごめんなさい、大丈夫ですか!?」


ぶっ飛んだ男の人に駆け寄って安否を確認する。




< 5 / 127 >

この作品をシェア

pagetop