隣に魔王さん。


一瞬にして魔王さんの機嫌が悪くなった気がするのは気のせいですか……?


「リース侯爵家の次期当主か、何のようだ。」
「陛下直々にこの少女を紹介して貰いたいと思いまして。」

「何故、」

「別に、ただの興味本意です」


険悪な雰囲気が辺りに漂って、バチバチッと火花が散っているご様子でございまするっ!逃げてもいいですかっ!!


「なつか」


険のある声を出さないでくださいよぅ。


「なつか、と申します。」


膝をおり、ドレスの裾を持ち上げる。
何となくだが、よろしくと言わなかった、言いたくなかったの方が近いかもしれないけど。


「ティルナス・リース・プライアンスと申します。以後お見知り置きを、なつか様。」

「ティルナス様、ですね」


にこり、と笑う。
頬の筋肉を総動員して笑顔をつくっているので、つりそうですっ隊長っ!


「ティル、とお呼びください。親しいものはそう呼んでおりますゆえ、」

「では、親しくなったら呼ばせていただきますわ」


遠回しな嫌味に気づくのだろうか、この人は。



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