隣に魔王さん。


***


ふぁあ……。


つい、欠伸がでて涙が出る。


最近、魔王さんと一緒にお昼寝をするようになったのです。
なんだか、魔王さん曰くエルさんがお昼寝の時間をとってくれてるらしくて。
抱き枕があるなら寝る。らしいのです―――。つまり、抱き枕=私。ということになるんですがね。

「なつか殿、お疲れか?」



むぅ、と畳らしきを睨んでいたら上から声が降ってくる。


「すいません、不謹慎でしたね」

ふわり、と笑みをエリダ殿――騎士団長に向けて詫びる。


「いや、お疲れなら休んだ方がいい。最近、暑くなってきたからな。」

「そうですね、」


そう、ここにも“夏”があるのだ。
夏だけではなく春に秋に冬。
日本と同じように四季があるらしいのですっ。
でも、呼び名が違うくて。


“春”は古桃。
“夏”は陽葵。
“秋”は紅樹。
“冬”は雪椿。


ってな感じらしい。
こっちにも、漢字らしきものがあって日本とあまり意味やカタチは変わらなかった。
ただ、まだ書くことは出来なくて苦戦中なのです。
何故か、話すのは出来るのにフシギー。


「なつか殿、」

「――そこ、踏み込みが甘い。」

ビシリ、と指摘すると敬礼をして稽古に戻ってく騎士。



< 63 / 127 >

この作品をシェア

pagetop