隣に魔王さん。
ひらり、とスカートが舞う。
まぁ、なかにはちゃんと履いてるし、大丈夫。
上は薄手のティシャツらしきもの。
これが一番動きやすいのですよー。
「―――はじめ!」
緊迫した空気が一瞬にして出来て内心、満足する。
ここに来た当時はこんな空気、なかったから。
動かないふたり、
私は構わず相手の目を見据えていたが、相手が痺れを切らし木刀を振り上げる。
思わず、笑みがこぼれた。
いや、指導する立場上は駄目なんですけどねー。
でも、性格上、出ちゃうんですよー。勝利を確信したときとか?
「――駄目だよ、隙ありすぎ。」
降り下ろされる木刀を受け流し、そのまま柄の方を相手の首に。
「―――決着、あり!」
私はヘナヘナと腰を抜かした相手に視線をあわせて、
「弱い、と思うなら痺れを切らしちゃ駄目ですよ。それに、一瞬で仕留めるくらいの速さじゃないと、降りが大きいから遅くなります。」
アドバイスを与えて、立ち上がり自分の場所まで戻り一礼する。
「次、今日は私がみんなとやりますからね?」
一瞬にしてみんなの顔が青くなったのは気のせいではない。
意気地無し、ですよー。ほんとに。
意気込んで向かってきてくれないと。
―――潰しがいがないですよ。