隣に魔王さん。


え、いやいや。
駄目でしょ。魔王さんがそれ言っちゃ。


「………ほんき?」

「ほんき。」

「……いいの?」

「いいんじゃね?」

「いくっ!」


はいっと手をあげて、行きたいアピールしてますっ!
え、さっきまでは何だったんだ?言質とれるのかわからなかったからの心配ですよっ!


「なら、準備しとけ。」


くしゃりと私の頭を撫でて、部屋から出ていった。


「ニナッ!!ニナもいこうっ!!」

「……も、勿論いきますよっ!なつかさまを独りでは行かせませんよっ!!」


何やら、ニナはすごい勢いで部屋を出ていった。
思わず、にやけてしまう。


だって、だって、


「――城下町に行けるんだっ!」

城の外に出れる。やっと。
不自由、は感じたことがないけれどやっぱり息がつまる。


微かな、小さな、自由でも。



今の私には大切なの。



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