隣に魔王さん。


「…そこまで、透明な黒い瞳を見たことがない。」


そうして、自分がフードを被ってないことに気付く。


「み、見間違いです。黒なんて大して珍しくもないですよ。」


取り繕うと必死に虚勢をはる。
その間にも、縄をほどくためにゆっくりゆっくり動かして。



冷静を保とうと深呼吸した瞬間。一気に意識を持ってかれた。




「―――これ、上等もんじゃねーかっ?」


暗闇のなかソイツか持ってたキラリと光る黒い石を見て血が熱くなった。



「―――それ、をかえせっ!」


魔王さんから、魔王さんから、




貸して貰ったものなのに―――。


「ぅわっ!!」


素早く縄をほどいて一目散にソイツに走って回し蹴りをくらわせる。


情けない声と共に倒れる。


「――荷物、全部返してくださいね。」


殺気を醸し出して、相手の動きを鈍らせる。



でも腐っても、盗人。



命知らず、らしい―――。



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