隣に魔王さん。


ガサゴソと荷物を探る。


「あったー!」


目当ての物を見つけてうふふと満足げに笑って、不審な目でこちらを見ている魔王さんに見せる。


「はいっ!お土産!」


ラッピングして貰ったあのブレスレット。
魔王さんに喜んで貰いたくて。
ポンと掌に置く。
魔王さんは興味深く私とそれを交互に見て、微笑む。


「ありがとな。」


袋から器用に出して笑みを浮かべながらブレスレットをはめて。
なんか、それを見ていると、こっぱずかしいのです!


「気に入った。」


優しい微笑みを私に向けて。
ドキリと胸を打つ。


「喜んで貰えるとうれしーですっ!」


恥ずかしい、けど嬉しくて。私も笑う。
何となく、この時間が心地良くてもっと、と願っていることに気づく。


先程までの殺伐とした状況と180度違って。




温かな時間が流れる。



「………ふぁ、」


温か過ぎて眠くなってきましたー………
うん、なんかいきなり睡魔が襲ってきたみたい………


「疲れたろ。もう寝ろ。」


トロンと瞼が落ちて、また意識が微睡む。
自分で立ってられなくて魔王さんの腕に倒れ込む。


優しく温かい腕の中やっぱり、眠りについてしまうのでした。






< 97 / 127 >

この作品をシェア

pagetop