姫の笑顔は俺のもの
「姫の様子がおかしかったから見に来たんだよ。心配だったから。クラスの女子の雰囲気もおかしかったからね」

「ねえ姫・・・何があったの?」

「っ・・・なんでもないよ・・・なんでもないから」

「姫、それが何でもないような顔?」

「え・・・?」

気が付くと、涙が流れていた
・・・いつの間に
傷ついてないはずなのに
心に負った傷は、浅くすんだはずなのに
なんで涙なんか

「俺たちじゃ、頼りにならない?」

「僕たちは、姫の力になりたいんだ」

「頼りにならなくなんてないよ・・・違うの・・迷惑、かけたくない。あたしの傍に居たら・・駄目だよ・・・」

「そんなこと言うなよ」

「優羽?」

「優羽まで、どうしてここに?」

「いねえから探しに来た。なんか、いつもと空気が違ったし気になったから見に来た」

いつの間にか、優羽が傍に立っていた

「迷惑か迷惑じゃないかなんて、オマエがきめることじゃねえ。決めるのは、俺たちだ。柚姫は気にしなくてもいいんだ。構わず頼ればいいんだよ」

「なん・・で・・・なんで優羽も葵も・・燐も・・なんでそんなに優しくしてくれるの?」

あんたらのこと、全然分からない
あたしと関わったって、何の得もないのになんでそんなに力になろうとしてくれるの?
意味わかんない・・・

「なんでって言われても・・・そうだな、なんとなくほっとけないんだよな姫って」

「そうそう・・・なんか一人でなんでも背負い込んで、傷ついてるタイプだよね」

・・・一人で背負い込んでるか
なんで分かるんだろ?
顔に出てるのかな・・・ううんそんなことない
あたしは、出ないように頑張ってきたんだ
ここで崩れちゃったら、きっと無理だよ
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