姫の笑顔は俺のもの
しばらくすると、突然電池がきれたかのように、なんの前触れもなく泣き出した

アタシはただ、それを静かに眺めていた
すでに、涙なんか止まっていた

だから、ただ眺めだけ

慰めの言葉なんてかけなかった

声をかけたら、また暴力を振るわれると思ったから



何時間そうしていたのだろう
母の泣き声が止まった

そして、凄い勢いで顔をあげアタシの肩を掴んだ


「お・・・お母さん?」

震える声で、母を呼ぶ
返答はない
でも、徐々に肩を掴んでいる手に力が込められる

「あんたさえ・・・」

掠れた声で、ぽつりと呟く

「え?」

「あんたさえ居なければ!どうして産まれたのよ!!あんたなんか産むんじゃなかった!産まれてこなければ良かったのに」


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