年上彼氏
タイトル未編集
「ゆかりー、サークルどっか見て行くー?」

「んー…どうしょっかなー。小夜はどうする?」

「私も迷ってるー。これといって入りたいサークルあるわけじゃないし。」


今日は大学の入学式。
幼、小、中、高とずっと仲の良い小夜――こと『萩野小夜』とは
大学も一緒。今日の入学式も2人で来た。

退屈な入学式を終えた私たちの手の中には
先輩たちが配っていたサークル勧誘のビラでいっぱいある。


「えーっと。ラクロスにバレー、こっちはバドミントンだって。
どれもこれも運動系ばっかじゃん。大学に入ってまで運動とかしたくないな。」

「あー、それ思う。別に得意じゃないし。私も紫も運動部じゃなかったしね。
でもさー、積極的にビラ配りしてんのとか
全部運動系のサークルばっかじゃない?人集めたいんでしょー、きっと。」

「あー、やっぱそうだよね。もうサークル見るのやめよっかな…。」


なんて話してる私たちの前を一人の男の人が通り過ぎた。

背は高く、すらっとした体型。髪はパーマがかかっていておしゃれ、
目元は少しタレていて優しげな雰囲気を醸し出している。

その男の人を見た瞬間、私の周りからは音が消えた気がした。

『かっこいい…』
そう思い、ついつい魅入ってしまう。
自然と目が彼を追ってしまう。



「…かり、ゆかり!」

はっとして小夜を振り返る。

「紫、どうしたの、ぼーっとして。」

「あ、ごめん!…今すっごくかっこいい人がいた!」

「え、まじ!?どこ!?」

「あっちのほうに行ったよ!ねぇ、ちょっと追いかけてみてもいいかな!」

「紫がそんなこと言うなんて珍しいじゃん。いいよ、行ってみよ!」


そして私たちはサークル勧誘で賑わう体育館を後にした。
< 1 / 5 >

この作品をシェア

pagetop