年上彼氏
「じゃーまず自己紹介!俺の名前は上村徹平!一応、このサークルの部長やってます!
3年だよー!ちなみに国文科!で、次はこいつ!」

上平先輩に促されて蓮さんが話し出す。

「俺は飯田蓮。俺も3年で国文科。趣味は、まあサークル通り読書。よろしくね。」

そういって軽く微笑む蓮さん。

「はい、じゃー次は君たちね!」

上平先輩が私たちに言ってきた。

「はい!私は萩野小夜です!私たちも国文科です!
こっちの紫とは幼稚園の頃からの親友です!
よろしくお願いします!」

「あ、私は平原紫です。よろしくお願いします。」


「えー、偶然、みんな同じ学部じゃん!これは運命だね!」

「あはは、運命って。上村先輩おもしろい!」

「あ、そんなよそよそしい~。徹平さんって呼んでよ!」

「え、いいんですか?じゃあ徹平さん!」

上村先輩と小夜はすっかり馴染んで話しこんでいる。


私はどうしたらいいかわからなくなって、ちらっと飯田先輩を見た。


すると彼もこっちを見ていて視線がぶつかる。

恥ずかしくなって思わず顔を背けようとしたら…


「紫ちゃん?よろしくね。俺のことは蓮でいいから。」

彼が話しかけてきてくれた。
しかも『紫ちゃん』って!『蓮でいい』って!


「は、はい!よろしくお願いします!!」

ついつい力がこもって大きな声になる。


すると彼はくすくす笑い出し

「もしかして緊張してる?大丈夫だよ。そんな堅苦しいサークルじゃないし。
ここじゃ、みんな好きな本読んで好きに話して適当に帰っていくだけだから。」


蓮さんはそう言ってくれるけど…
違うんです!私はあなたと話すことに緊張してるんです!!

「は、はあ。あの、れ、蓮さん、今それ何読んでるんですか?」


「ああ、これ。これは源氏物語。現代語訳されたやつだけどね。」

「あ、私も読みました。受験のときに読んでたほうがいいって聞いて読んだんですけど
普通にはまっちゃって、受験終わってからも読んだんです。」

「へえー。紫ちゃん、こういうの好きなんだ?」

「はい。というか、本が好きです。古文も読むし、児童文学なんかもいまだに好きだし。
あとは小説とか、漫画も…とにかく本全般好きなんです。」


「お、じゃあ俺たち気が合うかもね。俺もなんでも読むよ。」


よかった!私本が好きでよかった!
心からそう思う。

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