メルラバ
ドアを開けると昔懐かしいチリリリンという鈴の音がして、赤白ギンガムチェックのエプロンをつけた店員さんが笑顔で出迎えてくれた。

店内は、平日で午後の3時近くという微妙な時間のせいか、4人がけのテーブルがふたつ埋まっているだけ。

ひとつは大学生くらいの男の子が一人で読書中、もうひとつはOL風の女性が2人お喋りに花を咲かせていた。

いかにも喫茶店という感じ。

最近はカフェが主流だけれど、こういう昔ながらの喫茶店のほうが落ち着くのかもしれない。

現に読書をしていた男の子は人目もはばからずに大欠伸をしているし、2人連れの女性は誰を気にするでもなく大声で笑っている。

どこに座るかしばし悩んで、私は窓際の席に腰を落ち着かせた。
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