メルラバ
「可愛いやん」
「………」
「可愛い、って。他の男がどう思うか知らんけど…俺は、可愛いと思うよ」

耳に秋の声が、空気の振動に乗って、鼓膜を優しく甘く撫ぜていく。

他の男がどう思うか知らんけど。

その言葉が嬉しかった。

100万人に可愛いと言われるよりも、たった一人、秋に可愛いと言われたい。

例えそれがお世辞だとしても、嬉しいと思う。
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