メルラバ
「お待たせしました。今日はアイスじゃないんですね」

私が頼んだのは、あったかい紅茶。

いつもはアイスティーなんだけれど、今日はあまり体調が良くない。

睡眠不足のせいで頭はぼーっとするし、血流も巡りが悪いようで、やたら手足が冷える。

「烏丸さん、遅いですねぇ」

店員さんが窓から劇場付近を眺めながら呟いた。

近くのテーブルに座っていた女子高生が『烏丸』という言葉に、こちらを振り返る。
< 163 / 518 >

この作品をシェア

pagetop