メルラバ
これ以上、秋のことを怒らせるのもどうかと思ったし、それ以上に本当に気分が悪い。

仕方なく秋の両肩に手をかけると、ひょいと、本当に軽々持ち上げられた。


「軽っ。唯、ちゃんとメシ食ってんの?」
「…食って、ます」
「なにその変な日本語」

あははと秋は笑うけど…笑うけど、今それどころじゃないんだって。

近い。

こんなにも近くに秋がいて、呼吸の音すら聞こえてくる。

秋の首すじからはやっぱり良い香りがして、背中は広くって、私のことを気遣ってかゆっくりと歩いてくれている。
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