メルラバ
「………」


結局、奇跡は生まれなかったんだ…。

でも、一つだけ確かなことがある。

秋の恋愛に奇跡は生まれなかったけれど、秋のメールが私の元に届いたのは、きっと奇跡と呼ぶにふさわしい。


だって、あの間違いメールがなければ、秋は彼女に会いに行くことはなかった。

私の元に届いたからこそ、そして私がそれに返信したからこそ、秋は彼女に会いに行く決心をした。

不思議。

顔も本当の名前も住んでいるところも、なんにも知らない相手から届いた1通の間違いメール。

文字通り、文字だけの言葉だけの世界。

そんな相手に私が勇気を与えた…?
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